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百合の花  11月12日記 

杉林の向こうに太陽が昇ってきた。

長い夜だった。

ひと晩すごすための薪を、玄関にひと山とストーブの周りにも

用意した。

一年間車庫に積まれた薪は乾燥してよく燃えた。

道ばたで会ったおばあさんは今年はカメムシが多くて大変だと

言っていたけれど、この家にはそんなにいない。

あの虫は部屋が温かくなると、ぶんぶん飛んでうるさくてしか

たない。

ソファに仰向けになって本を読んでいると、天井に影が動いて

ぎくりとした。けれど、なんのことはない、フロアスタンドの

傘の周りをカメムシが歩いてその影が大きく映し出されている

のだった。その動く影はクリスマスをおもわせて、独りの夜へ

の贈り物だった。

影は天井を円く照らすオレンジ色の光の縁を何周かして、気が

ついたら消えていた。

今朝は冷え込んでいるとラジオが告げている。

遅くまで起きてストーブに火を焼べていたから部屋はうすらあ

たたかい。

外を見ると一面に霜が降りている。

10時を過ぎたころ、岩井さんがビールとばっけみそ(ふきの

とうみそ)を届けてくれた。牛飼いの岩井さんはダイエットの

成果で顔もお腹もすこし小さくなっていた。

けれど小さくひきしまった目も、上をむいた正直そうな鼻も、

かたく結ばれた唇もどこも変わっていない。

今日は掃除の続きと、家の周りの草むしりをした。

じっさいはむしるどころではなく草を抜き、今年芽を吹いたと

思われる樹(?)も抜いた。

しっかり根を張ってちょっとやそっとでは抜けなかった。

「おおきなかぶ」の真似をして、うんとこしょ、どっこいしょ、

と力任せに抜いてしりもちをつく。

慣れないクワやスキを持ち出した。

今年は百合の花があちこちで咲いた形跡が残っている。

百合は抜かない。百合が家を囲みいっせいに花を咲かせるとこ

ろを想う。

アジサイもよく咲いたようだ。

敷地はよい具合に荒れて来た。それでも来年はすこし手を入れ

なければ、強い植物だけが勢力をふるうことになる。

そうだ、すべて土に落ちていたけれど、ヤマナシはたっぷりと

実ったようだ。いつ来ると鈴なりのヤマナシが見られるんだろ

うか、10月初旬かもしれない。


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by rika_okubo7 | 2015-11-18 16:05 | Trackback | Comments(0)
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