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鎌倉のちいさいおうち  11月14日記 

汐留で降りて、建物のなかに通る地下とも地上ともわからないよ

うな道を歩いてJR新橋に向かう。

電光掲示板を見上げると横須賀線は出発したばかりだったので改

札口の前の”えん”のショーウィンドウのおにぎりの形や天むすの

結ばれ方などを遠目に見て時間をつぶす。

今日はふんぱつしてグリーン車にした。

ひろい席で鎌倉までの一時間をゆっくり過ごした。

前の席に座った二人のおおきな男はたぶん北欧から来た人たちだ、

と思う。

なぜなら、北欧の映画で話している言葉にそっくりだから。

なので、何を話しているのかさっぱりわからない。

ときどき知っている言葉が出て来るとそこだけ大きく聞こえる。

しんかんせん・よこはま・べーすぼーる・ちゃいなたうん、りに

あもーたーかー、たかやま、とーきょー、おさか。

よこはまは会話中なんども出てきた。

横浜中華街にでも行くのかな。

けれど彼らは横浜では降りず、北鎌倉で下車した。

今日はタカハシ氏のお誕生会だ。

鎌倉駅からトンネルを二つ抜けた向こうにあるお家までの間には、

こじんまりした感じのよいお店が間隔を置いて並んでいる。

観光地だから人は多いけれど、それでも鎌倉の持つ時間はそんな

ことには関係なくゆっくりと流れている。

二つ目のトンネルを抜けて、右に曲がり坂道をのぼったところに、

タカハシ氏の家はある。

八月末の鈴子さんのお誕生会のときも、タカハシ家に着かんとい

うときに、鈴子さんは引戸をあけて笑顔とともに外に出て来たけ

れど、今日もまたお宅に着かんというころに、タカハシ氏がタバ

コを吸いに外に出て来るところだった。

おふたりとも動物的勘が発達しているんだろうか。

お誕生日の歌をY子ちゃんとうたった。

タカハシ氏の恥ずかしさを隠そうとしている顔をはじめて見たよ

うな気がする。

彼の人生の抱負は、猫になることだそうだ。

ちいさな正方形のテーブルにお御馳走が並ぶ。

ぬれ縁のあるちいさなお家のちいさなテーブルには、ハレの日の

お御馳走がほんとうによく映える。

そのことをいつも(ハレの日にしかおじゃますることがないので)

心地よく感じる。

ぬれ縁に腰かけると、鈴子さんがきれいにつくっている、ちいさ

な畑からきもちよい土の香りがたちのぼってくる。

鼻孔を大きくして胸におさめる。

ここは奇跡のような家だ、とわたしは思っている。


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by rika_okubo7 | 2015-11-23 17:53 | Trackback | Comments(0)
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