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9月12日記    野音の音

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ウォーキングシューズを履いて日比谷公園の図書館に向かう。

公園は人で溢れていた。オクトーバーフェスト。

それでも興味はあるから会場に入って各国のビールと食べ物の看

板を見ながら足早に通り過ぎる。日比谷公会堂近くまでテーブル

席が設置されて、人気が出たんだなあ。

薄暗い空にドラムの音が鳴り響いている。野音でライブをやって

いる。上下に首を振りたくなるロックの重いリズムは、首筋を汗

がじっとり濡らす夏の盛りを思い出させる。

図書館は閉まっていた。しかも閉まったばかりだった。そうか土

曜日は7時までなんだ。裏手の返却ポストに本を返して、「一曲

だけ聴いて行かない?」とたくやさんを誘い、野音の外の柵に腰

かけ耳を傾ける。

体に響いてくる音に刺激されたのか今朝観たラストサムライの氏

尾が舞うシーンを思い出す。

死を覚悟した氏尾は出陣の前に一人舞う。舞うことで士気を高め、

同時に舞いながら自らを弔っていた。そうして自分をおさめてい

た。短いシーンだったけれどぐっときた。

オールグレン大尉と勝元の友情にも憧れた。

そういえば、古い映画だけれど戦場のメリークリスマスのハラ軍

曹とフローレンスの関係も境界を超えた友情だったな。


9月12日の食卓



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# by rika_okubo7 | 2015-10-05 08:19 | Trackback | Comments(0)

9月11日(金)    よく晴れている

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温室のガラスの天井のむこうに光が見える。

晴れ。ほんとうによく晴れている!

灰色の雲が空一面を覆いつくす日々が続く国に暮らす人びとは、

晴れた日の朝をこんな気持ちで迎えるんだろうか。

しげこさんもお店にやってきて、晴れたひさしぶりに!と胸を揺

らす弾んだ声でいう。

お店の中にある、ハーブの鉢という鉢を外に出してたっぷりと日

光浴をさせる。壮観だ。しげこさんは「三人でやると早いー」と

喜んでいる。

晴れている朝はテラスで食事となるのだけれど、これをいつも楽

しみにしている。今日はしげこさんが作ってくれた空豆のスウプ

とアボカドデッィプ、チャイブス入りのスクランブルエッグそれ

からきのう買ってきたパンがテーブルに並ぶ。食べているものが

よく見えないほど、日射しが強い。ひでさんは食後の果物のキウ

イをテーブルの上にいくつか置いてどこかに出かけた。

愛ちゃんがたくやさんの実家は無事だったろうかとお見舞いのメ

ールをくれる。世の中は大変なことになっていたのに、ラジオニ

ュースもろくに聞かずわたしは山の上で雨の夜を楽しんでいた。

知っている人たちの顔が思い浮かぶ。

なにをするでもなく、夕方近くまでゆっくりとする。しげこさんは

ほんとうによく働くなあ。今日は定休日だというのに。

食事を待ってくれていたたくやさんと遅い夕食。

夜、Cちゃんに電話をする。


9月11日の食卓




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# by rika_okubo7 | 2015-10-04 13:52 | Trackback | Comments(2)

9月10日(木)  フラワー、グリーン、シーライン

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雨。

しげこさんと山を降りる。

歯医者に行ったしげこさんを歯医者の駐車場に留めた車で待つ時間

に絵本を読む。

雨は降りつづけている。あたりはとても静かだ。

本を読むのにも飽きたので顔の筋肉運動をする。さいきん右の頬が

左に比べて緩んでいるような気がするから。

大きく口を開けて、あーいーうーえーおー、かーきーくーけーこー、

さーしーすーせーそー、視線を感じる。

マスクをかけた仕事中の歯科衛生士さんと、ガラス越しに目が合う。

気まずい。


橋本パンはお昼を過ぎたばかりというのにもう売れ切れていた。

ほかのパン屋にゆく。

お店に帰ってくると、ひでさんがドライブに誘ってくれた。

フラワーライン、グリーンライン、シーライン。

鬼怒川が決壊したとラジオニュースが伝えてくる。


9月10日の皿



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# by rika_okubo7 | 2015-09-27 09:56 | Trackback | Comments(0)

9月9日(水)  お山に向かう

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ときどき強い雨が降る。台風も来ている。

すこしためらったけれど、友だちのお山の店に向かう。

今はもう修繕してしまったからそんなこともなくなったけれど

雨の日のお店は素敵だった。

店の半分を占めている温室の席の、コンクリートの壁が雨を吸

い込むと、雨色の濃淡が壁に広がって水墨画のようになる。そ

れに、壁に雨がしみ込んでいるせいか、物音も小さくきこえて、

水の壁に囲まれているようにひっそりとしている。

雨漏りもすばらしかった。

雨が降ってくると雨粒が落ちてくるあたりに、大きい器や小さ

い器が置かれる。器が雨粒を受けると”ピチ”とちいさな音をた

てる。あちこちで”ピチ”とはねている。

温室の一角の雨に濡れすぎているテーブル席には誰も座れなか

ったけれど、屋内にその光景があることが素晴らしかったし、

映画なら雨好きの変わり者がわざわざその席に座り大きな傘を

ひろげて珈琲をすするシーンになるだろう。

今だって雨の日のお店は素敵だけれど、昔はもっと素敵だった

という話。

駅にひでさんが迎えにきてくれていた。ハシビロコウのように

どこか一点を見て微動だにしない。バスのなかから手を降った

とき鼻を触って”反応”をしたから気がついたと思うのだけど、

知らない顔をしている。声をかけたら「おーっ」と驚いた顔を

した。

お山の店には変わらずゆっくりと時間が流れている。ひでさん

としげこさんが作った空気だ。お店の周りの樹木もよく繁って

秘密の基地の様相を濃くしている。

夕方までゆっくりして、夜はKさんとRちゃんが遊びに来てくれ

るそうだから、宴、宴。


9月9日の皿




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# by rika_okubo7 | 2015-09-25 05:14 | Trackback | Comments(2)

9月8日(火)  菊の花

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あまり好まない食用菊だけれど、今年最後の節句だし、花び

らをむしって茹でるという行為の野蛮も久しぶりにしてみた

くて、市場に求めにゆく。”今一番苦しんでいるのは菊です”

とある店の女将がおしえてくれた。天気の影響で高くて物が

よくないっていうことなのかな、と思ったけれど、そこまで

は訊きにくくてはあはあとうなずいてしまう。

何軒かまわったけれどどこも同じで、干からびて勢いのない菊

しかなかった。デパートの八百屋にもなくて、結局あきらめる。

明日の朝二人でレモン水を飲むことにしよう。菊じゃないけれ

ど黄色だし、刺激的に酸っぱいし、なんとなく効きそうな気が

する。

明日からお山の上にゆく。

さて、留守をまもってくれる人のためのご飯を作らねば。


9月8日の皿 



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# by rika_okubo7 | 2015-09-23 15:45 | Trackback | Comments(2)

9月7日(月)  伸びるのが早いらしい

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ひさしぶりに髪を切りに行った。「のびましたねー」と驚かれる。

そんなにのびたかな、と本人はいつもピンとこない。髪の毛も多

いけれど、伸びるのも2倍速らしい。「そういう人は爪も伸びる

のが早いんですよ」と美容師さんにいわれて、そうかもしれない

と思う。睡眠が短い人は髪も爪もどんどん伸びるらしいけれど(

想像するとなんだか恐ろしい)わりとちゃんと寝ている。6時間

ほどは。眠りはそう深くないけれど。それでもやっぱり疲れてい

るのかもしれない。今日はハンカチをバックから出そうとしたら

パンツが入っていてぎょっとした。ひきだしから出したはずのパ

ンツがなくておかしいなあとは思ってはいたのだ。

夜はさんまのご飯をたべながら、庄司紗矢香のBachを聴く。

さんまは極上においしいし(特に肝が魚肉にまわったあたりのほ

ろ苦く甘い香り)、紗矢香さんのシャコンヌは今夜もまたしみい

る演奏だ。大好きなさんまとシャコンヌが同時に押し寄せてきて、

唸る。しあわせな夜。


9月7日の皿



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# by rika_okubo7 | 2015-09-21 20:52 | Trackback | Comments(2)

9月6日(日)  行ってらっしゃい

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星、楓、熱帯の花、空の青、国旗やイメージを尾翼に乗せて飛行

機は飛び立って行く。ある飛行機は機首をぐんと上げて、ある飛

行機は水平に近いラインを保ちながらおだやかに。飛び立つ時、

滑走路でまっすぐ前を見据えエンジンをフルパワーにする音が好

きだ。風を立て地響きを立て、その伝播で鼓膜が震え血がざわざ

わと波立つ。とうぜん飛び跳ねることになり、飛行機乗りになり

たいと熱望する。雨が降っているのに送迎デッキには人が出て、

飛行機を写真におさめたり、誰かを見送ったりしている。今日は

ハワイに向かうTちゃんを送りにきた。ふつう数週間海外に行く

くらいでは送りにはこないけれど、Tちゃんの場合はちょっと違う。

旅に出たくても出られない事情があったし、特にここ五年はほん

とうに頑張った。タイミングよく海を渡れることになったのだか

ら、心から楽しんでほしくて、乾杯にきた。それにお護りも渡し

たかった。ハワイの青い大きな空の下、スポーツカーでどこまで

もかっ飛ばして澱のようなものを吹き飛ばしてほしくて、国際免許

を取ってと提案したのはいいけれど心配になって。

じゅうぶんに楽しんできて、とハグをする。Tちゃんとたくやさん

のハグはいつもよりちょっと長かった。姿が見えなくなるまで背

を伸ばし互いに手を振る。行ってらっしゃい。


9月6日の皿


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# by rika_okubo7 | 2015-09-18 08:16 | Trackback | Comments(0)