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10月7日記 / ふたりのわたし

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大学病院って懐かしい。
子どものころはあんまり丈夫じゃなかったから、母に連れられてあちこち行った。
一番遠くは滋賀県の病院まで。あの頃は札幌に暮らしていたから、飛行機に乗って
行ったということなんだけど、どこが悪かったのかなあ。確か循環系。
親というのはとにかく遺伝を過剰にまで心配することが、今はわかる。

朝早くから夕方まで病院に居る覚悟で行ったけれど、まるまる夕方までかかった。
待つ間、カズオ・イシグロのデビュー作”遠い山なみの光”を三分の二ほど読んでしまう。
名前を呼ばれたのは2時半をまわった頃だった。診察室に入ると何時から待ちましたか、
と優しい言葉をかけてもらって気持ちがやわらいだ。
けれどそういう先生の横顔は灰色にくすみ、白衣の襟元は黄ばみ、全てに疲れが滲んでいた。
少し世間話をして、先生が一番疲れていますねと言うと、うなずくように微笑んだ。
今までの症状をプリントした紙を渡すと、余白を小さなハサミで切り取りカルテに貼り、
プリントされた言葉の向こうにあるものを見詰めようとする先生の横顔を見るうちに、
ここの病院にしようと思う。

二人いるみたいだった、決断しようとする私と、迷っている私。
けれど来週検査をして他に悪いところがなければ、手術と決まって、それが丁度一ヶ月先だから、
ならば今日できることは全てやろうと、採血やら入院手続きやらいろいろ。

すぐには家に帰りたくない。丸の内をぼんやりした頭でぶらぶらする。
死ぬでもないのに、こういうとき何か友だちにプレゼントをしたくなるのはどういう訳だろう。
それからたくやさんや、母にも。
なのに、なにかを決める力がなくて、店から店をまわるばかり。

高島屋で食料品を買いもとめるうちに、力が沸いて来る。おそるべし食品の力。
久しぶりに酒欲も出て来たので、家で白ワイン。

母はかえってほっとしている様子。
決まるっていうことは、そういうことなんだな。
友だちのメールが、ありがたい。
Iさんに報告の電話。

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昼ごはん
病院のレストランで
天ぷら蕎麦と月見蕎麦を選ぶのは
なかなかに悩むことであった。
てんぷらは油が悪そうだから、
月見にする。
今度はかけそばにできないのか、きいてみよう。

夕ごはん
たくやさんは、梅林でとんかつ。
わたしは、手みやげのカツサンドを夜中に食べる。
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by rika_okubo7 | 2013-10-31 00:10