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11月12日記 / まぶしかった

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おとといも、きのうの夜もうまく眠れなかった。
病棟の夜は、SOSが突発的に鳴り、駆け抜ける看護師の足音が何度も聞こえてくる。
隣の眠れない人のテレビの光が部屋に瞬き、窓からの光りがいくつも正方形を壁に並べている。
まるでクリスマスだった。
正方形の光を見るうちに、糸杉並木の景色を見つけて子どものころのように物語を作って
みようとしたけれど、すぐに気がそれてうまくいかない。

朝の採血もうまくいかなかった。
緊張しているのか、血管が出ないらしい。
リラックスしようと、7時になるのを待って一階のスターバックスにコーヒーを買いに行く。
カフェミスト注文すると、店員さんが私の頭越しに視線を外にやってにこにこしている。
思わず振り返ると、ダウンを着込んだおじいさんが外からやってきた。
おじいさんもにこにこして嬉しそうだ。たぶん常連さん。
何を注文するのかなあと聞き耳を立てたままちらりと様子を伺うと、
おじいさんの横顔が「ミルクひとつ」と言った。
とつぜん涙がわいて来て、止めるのに困った。
自分に戸惑って、バカみたいじゃないかと言い聞かせても、胸はどんどん熱くなってゆく。
おじいさんは病院に入って行った。ここに入院していて、朝は散歩を日課にしているのかもしれないな。
四角い背中を追いかけて、同じエレベーターに乗ったけれど、もう輝きは失われて、ただ固まったおじいさんだった。
でもあの一瞬、宝物を確かに見たのだと思う。

コーヒーのおかげで採血もうまくいって、体重と身長もはかって、あとはたくやさんを待つのみ。
隣の人も今日退院のようで、朝からワンピースに着替えて微笑ましかったなあ。

荷物をまとめてタクシーで家に向かう。
門前仲町の交差点にさしかかった時、ずいぶん明るいなあと思った。
信号待ちをしている、男の人の背広の濃い色が、白っぽく見えて眩しいほどだ。
その明るさは永代通りのアーケード街を走り抜ける間も続いて、最後の交差点を曲がる時、
私は日頃ずいぶん明るい街に暮らしていたのだなあと思った。

夕ご飯
作り置いておいた、ビーフシチュー
それから人参サラダ。
ビーフシチューはキツかったなあ。
胃痛に苦しむ。
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by rika_okubo7 | 2013-12-07 17:34