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Retina1961年製     9月12日記

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向かいの席のおじさんがにこやかな顔を向けてくる。

ぴた、と目が合うとその視線を、わたしの膝元にやり

、何度も頷いてうれしそうに笑う。

ん?そうか、カメラだ。

今朝、ドイツコダック社の古いカメラにフィルムを詰

めた。相変わらずかわいい奴だ。

細部のメカニカルなデザインや手触りもいいけれど、

重さ、この重さがたまらない。

はじめてRetinaを両の手のひらに受けた時、心臓が

とした。

小さいのにずしっと量感があり、離したくない、

時に思った。

おじさんは向かいの席でカメラを眺めながら何かを

思い出しているのかやわらかい表情をしている。

レンズが収められている扉を開いて見せると、それ

それ、と深く頷く。

Retinaに瞬発力はない。

これと決めて一枚を撮るのに、扉を開き、露出を決

め、ピントを合せシャッターを切るまでおそらく一

分はかかる。わたしのRetinaは1961年製だ。

半世紀前の一分と今の一分は60秒と違いはないが、

人間の方が変わってしまったのだろう。

一枚にかける時間はうんと少なくなり、便利にはな

ったけれど、なにかもの足りないのは愉しみ、つま

りはストーリーを失ったからではないかなあ。

おじさんは電車から降りるとき、1930年代のRetina

を持っていること、日本製の蛇腹カメラ(わたしはそ

のカメラを知らなかった)も持っていると話しかけて

来た。撮ってらっしゃるんですか?と訊ねると、フィ

ルムの種類が少なくなってねと残念そうな顔をした。

おじさんはRetinaを犬にそそぐような愛情こもった目

で見て去って行った。

そういえば、Retinaを手にした時の感触は、子犬を手

のひらに受けたあの喜びとも似ている。

息づいている鼓動が小さな体から伝わってくるような。







お昼ごはん

冷蔵庫の少しずつ残っているものをサンドウィッチ。

トマトと玉ねぎのスウプ。


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お夕飯

鶏だんごとキャベツとキクラゲのラーメン

若芽と菊花の酢の物。


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by rika_okubo7 | 2014-09-24 15:34