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1月6日追記

きのうの、嬉しかったことを書き留めておくのを忘れた。

豆腐屋のおじいさんの笑った顔をはじめて見た。

店に入るとおじいさんは私の顔を見て「木綿?」と訊ねてき

たから「絹を二丁」と応えると「今日はあたたかいねえ、

汗をかくねえ。明日からまた寒くなるらしいけどね」と

話しかけてきた。けれど、こちらに背をむけて窓のほうに向

かって話しているものだからあまりよく聞こえない。

「そうですね、寒い日の水仕事はこたえますね」と返すのが

精一杯で、雑談をするのもじめてだったからどぎまぎする。

おじいさんはうんうんとうなずき節くれだった手でパックに

豆腐を入れ「まだ温かいよ、出来立てだからね」と云いすこし

間を置いて「角の取れている豆腐をおまけに入れておいたから」

とおじいさんの横顔ははにかんだ。

台に置かれた白いビニール袋をのぞくと、ほんのすこしだけ

角の欠けた豆腐が一丁よぶんに入っていた。

お会計の時「これ」とレジの横に積んであったお年賀のタオル

をおじいさんは下さった。「こちらからもお年賀です」と白い

ビニール袋に入れた缶ビールを二本渡すと「あっ、これは、ど

うもどうも」と満面の笑みになった。

嬉しかった。

今日は勝どき橋の上で豆腐の数をたしかめることはしなかった

けれど、橋から望むお天気のよい景色に嬉しさがさらに開放さ

れて、笑った、笑った。おじいさんが笑ったー!と駆けってし

まいたいくらい嬉しかった。



by rika_okubo7 | 2015-01-26 06:33