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部屋が広い        一月十四日

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目が覚めて、おかあさん、と起き上がる。

そうだ、母はもう居ないのだった。

部屋を広く感じる。

空間を埋めていた一部を失うのは、ずいぶん淋しいことなのだなあ。


母が寝ていた布団を干す。

今日もいい天気だ。

大きいテーブルに載せた敷き布団の日だまりが気持ち良さそうで、

大の字になる。

空は大きく広がって、布団はふかふかで、ああ、なんて気持ちいい

んだろう。

いつの間にか眠って、目が覚めたのは夕方だった。


母の咳が止まらない。

きのう、空港で別れたとき振り返ったらもういなかった、と母は

云う。

そんなことはない。母は振り返らなかった。

母は云い直した。グランドホステスが話しかけて来て、ブリッジ

の途中ではたと気が付いて、引き返したらあなたはいなかった、

と母はすねた声で言う。

母の見た光景を想像する。

空っぽだったんだろう。

いると思っていた人がそこにいなかったんだろう。

胸が痛い。少し、待つとよかった。けれど、そうは言わない。

ホステスに親子の別れは辛いですよね、と慰められた言葉に涙が

溢れて、千歳空港に着くまでぽろぽろぽろぽろ泣いていて帰った

ようだ。

この一週間はちょっと特別だったしね。

だから、いつもより不安定にもなるだろうなあ。





お夕飯

牡蠣と白菜のお鍋。

〆はお雑炊。


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by rika_okubo7 | 2015-02-14 12:56