安野さんの秋 4月23日記
今日もゆっくりと太陽が昇ってくる。
午前五時十五分。
銀座の和光のショーウィンドウを見るともなしに眺めると、
安野光雅さんの展覧会をやっている。
以前だったら横目でちらりと見て通り過ぎたはずだけれど、
安野さんの絵は森山さんが好きだった(何冊か本をもらっ
たことがあるからもしかすると、書も文も好きなのかもし
れない)、それにわたしも森山さんが六年前に亡くなって、
その分歳を重ねた。
安野さんの絵をみていると胸がゆるんだ。
イタリアの古い記憶(はっきりしたことはわからないけれ
どすくなくとも十年は経っているとギャラリストさんがお
しえてくれた)をもとに描かれた風景画。
肯定的な絵、地上のすべてを肯定しているような絵だった。
”イタリアの別荘”という秋の風景の絵が記憶に残っている。
じっさい木々は黄金色に染まっているのだと思うけれど、
安野さんの秋はどうみても菜の花の春の色で、お花畑のよ
うに見える。林に畑、細い道がくねくねと通った風景の真
ん中に、古城ににた別荘がぽつんとただただ建っていた。
by rika_okubo7
| 2015-05-21 17:04