わたしはわりと好きな映画だった 5月5日記

「まあ、ずいぶん、乱暴な時代だねえ。」
映画が終わったとたんたくやさんはそう言った。
「あの時代の映画って何を言いたいのかわからないなあ。」
とも言う。
確かに。
時代は二十世紀初頭。頭のあたりは見損なったけれど、大河
ドラマ的なつくりの映画だ。”レジェレンド・オブ・フォール
果てしなき想い”。
わたしはわりと好きだった。
おもしろいというのでもないけれど。
ひたむきに生きて、死んでゆくのがよかった。時代に人に自分
にさえ振り回されて。
ひと人またひと人死に牧場の片隅に家族の墓が増えていくのも
よかった。痛みとともに安堵があった。
たくやさんと長い橋を渡り、隣りの街に向かう。
橋の左の大きな空に、一点、赤い凧があがっている。
白く霞むレインボーブリッジには車が音もなく流れている。
by rika_okubo7
| 2015-05-26 23:26