あかり 5月16日記

夜がおわろうとする時間にふとなにかを感じて和室を見ると、豆電球
がほんわりとあかりを放っている。
電気電気と母と喜んだ。
消防署ではうちの電気だけが停まっているということだったけれど、
一帯400軒ほどが停電していたそうだ。
闇に慣れないわたしたち親子は、ひどく怯えたけれど、地元の人たち
は、逞しかった。闇がなんだというふうに。
山の家で朝一番にすることは、ストーブに火を入れること。
もう随分慣れて一度で火をつけられるようになった。
部屋があたたまるまで、母はさむいさむいとつぶやき続ける。
部屋があたたまって、虫も飛べば、母はぎゃーと叫んでいる。
母はすぐにお腹がすく。お腹がすいたと言って子どものように甘えた
直立不動をしている。まったく忙しい。
それでも、東京の家で作ってきたものをよく食べてくれて、嬉しいこ
とには違いない。
by rika_okubo7
| 2015-06-30 19:02